なぜ世界的企業は、重要拠点にドーム建築を選ぶのか|企業の思想を形にする空間戦略
みなさんこんにちは。
Viking Dome Japanの加地です。
今日は『企業の思想を、人の記憶に残る場所へ』というテーマでお話ししたいと思います。
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企業の本社や研究開発拠点、ショールームを訪れたとき、またインターネットなどで建物の写真を見ただけで、「この会社らしいな」と感じることがあります。
自然と共に働く。
人と人がつながる。
社会に開かれた企業でありたい。
まだ見たことのない未来をつくる。
世界的な企業や重要施設のなかには、こうした考えを言葉だけでなく、
建築そのものに語らせている場所があります。
その表現方法のひとつが、ドーム建築です。
あたりまえですが、世界的な企業の本社すべてが、ドームになっているわけではないです。
ただ、企業や施設の考え方を強く印象づけたい場所に、
ドームが象徴的に使われているのは、絶対に偶然ではないと思っています。
今回は構造の話だけではなく、企業ブランドや採用、広報、共創といった
「経営の視点」から、ドームが選ばれる理由を考えてみます。
■トップ企業にとって、建物は単なる「経費」ではない
本社や重要拠点の建設には、当然ながら莫大な費用がかかります。
床面積やそこでの仕事や作業効率だけを優先するなら、四角い建物のほうがきっと計画しやすい場面も多いはずです。
それでも企業が、あえて象徴的な建築に投資するのはなぜか。
建物が、社員を収容するだけの単なる箱ではなく、企業の考え方を伝える「接点」になるからです。
毎日本社には、そこで働く社員だけでなく、取引先、採用候補者、投資家、メディア、地域の人々など、さまざまな人が訪れます。
そこで感じた空気や、目にした風景は、会社案内に書かれた言葉以上に、その企業の印象を左右することがあります。
受付を通り、広がりのある空間へ入る。
自然光の下で、社員が会話をしている。
植物に囲まれた場所で、新しいプロジェクトについて話し合っている。
そんな風景から、
「この会社は、人と人との交流を大切にしている」
「環境への考え方を、言葉だけでなく空間にも反映している」
と感じる人もいるはずです。
建築は、企業の姿勢を無言のまま伝えてくれる存在でもあります。
■なぜ象徴的な拠点に、ドームが選ばれるのか
ひと目で記憶に残る輪郭がある
企業がどれほど優れた技術や思想を持っていても、それが伝わらなければ、社会に広く認識されることはありません。
一般的なビルが並ぶ街のなかで、曲面を描くドームは、遠くからでも目にとまります。
写真や映像に映ったときにも場所を特定しやすく、企業や施設の「顔」になりやすい形です。
これは、単に目立てばよいという話ではないです。
長く使われる本社や研究拠点に、その企業を象徴する景色が生まれる。
その景色が、採用サイトや企業案内、ニュース、SNSなどを通じて、何度も発信されていきます。
一度だけの広告とは違って、建物はずっとその場所に存在し続けます。
時間をかけながら、少しずつ企業のイメージを積み重ねていくのです。
■「未来」「地球」「つながり」を直感的に表現できる
建築の形は、見る人にさまざまな印象を与えます。
四角い建物から秩序や合理性、安定感を感じるとすれば、球体やドームからは、地球、宇宙、生命、循環、つながりといったものを連想する人も多いと思います。
そのため、ドームはテクノロジー、環境、研究、教育などをテーマに掲げる企業や施設と、比較的相性のよい形です。
企業理念を壁に大きく掲げなくても、建物の姿を通して、自分たちがどのような未来を目指しているのかを伝えることができます。
言葉を発しなくても、建物が語ってくれる。
ドームには、そんな力があります。

商業施設の大型ガラスドームを施工する作業員。ジオデシック構造のフレームとガラスパネルによるドーム屋根の施工風景。
■人が集まり、顔を合わせる「中心」をつくれる
ドーム空間へ入ると、人の視線は自然と中央や上方へ向かいます。
四角い部屋のように正面がはっきり決められていないため、特定の方向だけではなく、空間全体へ意識が広がります。
この特徴は、人が集まり、交流する場所にも向いています。
たとえば、次のような用途が考えられます。
●社員が部署を越えて集まる共創ラウンジ
●新製品や技術を発表するショールーム
●取引先を招くプレゼンテーション空間
●社内外の交流イベント
●採用説明会や研修
●地域へ開かれた展示・体験施設
重要なのは、柱の少ない空間をつくれることだけではありません。
人の動きや視線が分断されにくく、ふとした会話や出会いが生まれやすいこと。
そこで何が起こるのかまで考えてみると、ドームの価値は、構造だけでは語りきれないことが分かります。
■自然光や植物を、空間の主役にできる
ガラスや透光性のある外装材を使ったドームは、空や光、植物、季節の移ろいを室内へ取り込むことができます。
自然を眺めるための窓をつくるのではなく、空間全体を自然との接点にできるところが特徴です。
都市のオフィスでは、働く人と自然との距離が、どうしても遠くなりがちです。
だからこそ、光や緑に包まれた空間は、普段のオフィスとは少し違う発想やコミュニケーションを生み出してくれます。
働き方が変わり、「オフィスへ行く意味」が改めて問われている今、机や席を用意するだけでは、魅力ある拠点にはなりません。
「今日は、あの場所で仕事をしたい」
「わざわざでも、ここへ来たい」
そんな気持ちを生む環境をつくることも、人材への投資のひとつではないでしょうか。
■成功しているドームには、先に「思想」がある
私自身、世界各地のドーム建築を見るたびに、「この形には、どんな想いが込められているんだろう」と、ぼんやり考えることがあります。
設計した人や、この場所をつくった人の想いに思いを巡らせる。
そんな時間も、私にとってドーム建築を見る楽しみのひとつになっています。
象徴的なドーム建築を見ると、つい外観の美しさや、その規模に目を奪われます。
けれど、その背景をたどってみると、先に明確な目的があり、それを実現するための形としてドームが選ばれていることが分かります。
●Amazon Spheres|都市のオフィスに、自然とのつながりを取り戻す
シアトルのAmazon本社にある「The Spheres」は、ガラスの球体内部に4万本を超える植物が育つワークスペースです。
公式サイトでは、都市のオフィスに不足しがちな自然との直接的なつながりをつくり、自然に囲まれながら、いつもとは違う考え方や働き方ができる場所として紹介されています。
この建築が伝えているのは、単に企業規模の大きさではないと思います。
自然と仕事を切り離さず、働く環境そのものを考え直す。
その企業姿勢が、植物を包み込むガラスの球体として表現されています。
もし、同じ数の植物が一般的なオフィスフロアに並べられていたとしても、ここまで強い印象は残らなかったかもしれません。
思想と形、そして、そこで過ごす体験。
その三つが結びついているからこそ、企業を象徴する場所になっているのだと思います。
●ドイツ連邦議会議事堂|公共性を空間として体験させる
ベルリンのドイツ連邦議会議事堂には、建物の上部に大きなガラスドームがあります。
ドームは高さ約23メートル、幅約40メートル。内部では360枚の鏡を通じて、自然光を下の議場へ導く仕組みが採用されています。
来訪者はドーム内部のスロープを歩きながら、ベルリンの街並みと、その下にある議場を見渡すことができます。
ここでガラスドームが果たしているのは、採光設備や展望施設としての役割だけではありません。
透明な空間を市民が歩き、政治が行われる場所を上から見る。
その体験を通して、公共性や、開かれた議会という考え方を建築そのものが伝えているように感じます。
●Eden Project|人と自然の関係を、身体で理解する
イギリスのEden Projectは、かつて採掘場だった土地につくられた、大規模な環境施設です。
泡が連なるようなドームの内部には、熱帯雨林や地中海性気候の植物環境が再現されています。
ここでドームが果たしているのは、植物を雨風から守る役割だけではありません。
来訪者はドームの中を歩きながら、温度や湿度、植物の大きさ、香りまで体験します。
展示パネルを読むだけでは分からない、人と自然とのつながりを、身体で感じられる場所です。
伝えたいテーマがあり、それを説明するのではなく、空間全体で体験してもらう。
Eden Projectは、建築が持つ力を分かりやすく示している事例だと思います。
■建物が、採用・広報・共創を支える
象徴的な建築の価値は、完成した瞬間の話題性だけでは測れません。
建物が実際に使われ始めてから、長い時間をかけて生まれていく価値もあります。
●採用候補者に企業文化を伝える
給与や福利厚生だけでなく、「どのような人たちと、どんな環境で働くのか」を重視する人は少なくありません。
採用候補者が本社を訪れたとき、その企業らしい空間があれば、言葉では伝えにくい価値観まで感じてもらえます。
働く人を大切にしているのか。
部門を越えた交流があるのか。
環境への考え方を、実際の行動へ移しているのか。
建物は、企業が掲げる理念と、実際の姿が一致しているかを感じ取る場所にもなります。
●その場所を訪れる理由になる
取引先を招きたい。
新しい技術を見てもらいたい。
研究者や地域の人たちと交流したい。
そう考えても、一般的な会議室だけでは、「そこへ行ってみたい」と思ってもらうのは簡単ではありません。
企業を象徴するドーム空間が、ショールームやイベント会場、ラウンジとして使われれば、拠点そのものが来訪のきっかけになります。
人が訪れ、会話が始まり、そこから新しい仕事が生まれる。
建築が直接商品を売るわけではありません。
だけど、事業へつながる接点を増やすことはできます。
●発信の舞台として使い続けられる
企業の顔となる空間は、さまざまな場面で繰り返し使われます。
新製品の発表。
経営者へのインタビュー。
採用動画や社内イベント。
取引先との対談。
その背景に企業らしい建築が映ることで、発信する情報にも一貫した世界観が生まれます。
建物は完成したあとも、企業の広報を支える舞台として働き続けます。
■日本企業の拠点にも応用できる
象徴的な空間をつくるために、本社全体を巨大なドームにする必要はありません。
大切なのは、その企業の考え方が最も伝わる場所を見つけ、そこに建築としての意味を持たせることです。
●本社のエントランス
エントランスは、来訪者が最初に企業と出会う場所です。
製品や技術、企業の歩みを紹介する展示とドーム空間を組み合わせれば、受付を通過するだけだった場所を、企業への理解を深める場所へ変えられます。
●屋上の交流ラウンジ
これまで十分に活用されていなかった屋上に、社員や来訪者が集まれるドームを計画する方法もあります。
眺望や自然光を生かしながら、会議、食事、社内イベント、取引先との交流など、ひとつの空間に複数の役割を持たせることができます。
●研究開発拠点の共創スペース
研究施設には、ひとりで集中する場所だけでなく、異なる分野の人が意見を交わす場所も必要です。
柱の少ない開放的な空間を、展示や実験、プレゼンテーション、交流会などに使う。
そうすることで、研究成果を外部へ伝え、新しい連携を生み出す接点にもなります。
●工場・技術センターのショールーム
優れた技術を持っていても、工場設備を見ただけでは、その価値や背景まで十分に伝わらないことがあります。
見学動線の最後に、技術や企業の未来像を体験できる象徴的な空間を設ける。
工場を見るだけで終わらず、その企業が何を目指しているのかまで感じてもらえれば、見学全体がひとつのストーリーになります。
■ドーム建築の投資効果をどう考えるか
事業としてドーム建築を検討するなら、「目立つかどうか」だけで判断するべきではありません。
建築費だけではなく、その空間がどのような価値を、どれくらい長く生み出せるのかを考える必要があります。
たとえば、次のような視点です。
●社内イベントや来客対応で、年間どのくらい利用するのか
●展示会や発表会にかかる外部会場費を削減できるか
●企業見学や視察の受け入れを増やせるか
●採用活動で、企業文化を伝える場所として使えるか
●写真や映像を、企業広報へ継続的に活用できるか
●社員同士の交流や、部門間の連携を促せるか
●地域や取引先との新しい接点をつくれるか
●空調、清掃、点検、補修にどの程度の費用がかかるか
直接的な売上だけを見ていると、象徴的な建築の価値は捉えにくいものです。
採用、広報、企業認知、共創、社員の帰属意識なども含めて考えることで、建物が生み出す長期的な価値が見えてきます。
●「ドームを建てたい」だけでは、うまくいかない
ドームは、印象の強い建築です。
ですので、「ドームを建てること」そのものが目的になると、完成後の使い方が曖昧になってしまうことがあります。
形を決める前に、まず考えたいことがあります。
●誰に訪れてほしいのか
社員なのか、取引先なのか。
採用候補者、研究者、地域の人々なのか。
主な利用者によって、必要な広さも設備も変わります。
●そこで何を感じてほしいのか
安心感、開放感、未来への期待、自然とのつながり。
どのような感情を持ち帰ってほしいのかによって、素材や透明度、照明の考え方も変わってきます。
●どのような行動を生みたいのか
会話を増やしたいのか。
技術を体験してほしいのか。
ゆっくり滞在してほしいのか。
目的が違えば、出入口や動線、音響、家具、設備の配置も変わります。
●日常的にどう使い続けるのか
完成したときだけ注目されても、その後に使われなければ、経営資産にはなりません。
社内会議、展示、研修、イベント、来客対応など、年間を通じてどの様に使うのか。
設計の段階から、実際の運用までイメージすることが大切です。
●象徴性だけでなく、使い続けられる設計へ
透明なドームには、自然光や眺望を取り込める魅力があります。
その一方で、日本で計画する場合は、夏の日射熱や眩しさ、結露、台風、積雪、地震、清掃方法など、現実的な課題にも向き合わなければなりません。
規模が大きくなるほど、構造フレームだけでなく、接合部、基礎、防水、換気、空調、避難計画、メンテナンス動線まで含めた検討が必要になります。
敷地や規模、用途、設置方法によっては、建築基準法上の扱いや必要な手続きも変わります。
企業の思想を表現すること。
そして、日常のなかで快適に使い続けられること。
この二つを両立させてこそ、重要拠点にふさわしいドーム建築になるのだと思います。

紫色にライトアップされた透明ジオデシックドーム。アクアポニックス。ドーム内部で植物を展示し、下部には水槽を備えた体験型展示空間。
■企業の思想を、人の記憶に残る場所へ
世界的な企業や重要施設がドームを選ぶのは、ただ珍しい建物をつくりたいからではありません。
自分たちが大切にしているものを、人が実際に見て、歩き、感じられる空間へ変えるためです。
Amazon Spheresには、都市のなかで自然と共に働くという考え方があります。
ドイツ連邦議会議事堂のガラスドームからは、市民に開かれた場所をつくろうとする姿勢が感じられます。
Eden Projectでは、人と自然とのつながりを、ドーム内部の環境そのものを通して体験できます。
三つの建築に共通しているのは、先に思想があり、その思想を伝えるための形として、ドームが選ばれていることです。
企業理念は、ウェブサイトや会社案内だけで伝えるものではありません。
働く人が毎日を過ごし、取引先や地域の人々が訪れる建物もまた、その企業が何を大切にし、どのような未来を目指しているのかを語っています。
企業を象徴する空間は、必ずしも大規模である必要はありません。
エントランスや屋上、ショールーム、共創ラウンジなど、建物の一部から始める方法もあります。
VIKINGDOME JAPANでは、「何を建てるか」だけではなく、その場所で何を伝え、どのような体験を生み出したいのかを伺いながら、用途や敷地条件に合わせたドーム空間をご提案しています。
規模や仕様がまだ決まっていない段階でも構いません。
企業の考え方を形にする拠点や、既存施設の新しい象徴となる空間をご検討の際は、お気軽にご相談ください。
⇒ドームに関するご質問は、『よくある質問』ページをご参照ください。
■ お問い合わせ
私たちViking Dome Japanは、ドーム構造を専門とし、
国内外で様々なドームプロジェクトに関わってきました。
技術協力・協業に関するご相談は、下記よりご連絡ください。
お問い合わせはフォームまたはお電話(052-848-8444)にて。
プロジェクト関係者の皆様と、新しい空間体験を日本で実現できることを楽しみにしています。
